不動産投資や不動産売却についてよくある質問をご紹介します。
不動産投資ってどんな投資ですか?
一言で言えば、「大家さん」となって賃料を得る、ということです。
『不動産を買って「インカムゲイン」を狙う』
投資から得られる利益には、「キャピタルゲイン」と「インカムゲイン」があります。
投資によって取得したものが「買ったときより高く売れたときに」得られる利益を「キャピタルゲイン」と言い、取得したものが定期的に生み出す利益を「インカムゲイン」と言います。株式投資で言えば、売却益がキャピタルゲインで、毎年の配当がインカムゲインに該当します。
不動産投資の場合、バブル期までは「キャピタルゲイン狙い」でした。土地の値段は必ず上がり続けるという「土地神話」があり、値上がり益が期待できました。
しかし土地神話が崩壊した昨今では、不動産投資の目的も「インカムゲイン」に移ってきました。不動産の値上がりを期待するのではなく、毎月得られる賃料収入に期待するわけです。不動産の購入価額と賃料収入を見ると、預貯金よりは高い「利回り」になることが多いです。
『建物を「買って貸す」のが一般的』
不動産投資の狙いは「インカムゲイン」と申し上げましたが、「インカム」には地代(土地を貸すことで得る収益)と家賃(建物を貸して得る収益)があります。
一般に、収益性は「家賃」のほうが高くなりますので、「建物を買って貸す」形になることが多いです。不動産投資をするということは、建物の貸主、すなわち「大家さん」になって家賃を得ることになるのです。
他の投資手段と比べて、不動産投資にはどんな特徴がありますか?
自ら「収益向上」「リスク軽減」を図ることができます。
『「いい投資対象」の判断がつきやすい』
株式投資をする場合、「その会社の株価が上がるかどうか」を判断します。しかし、この判断を正しく行うのは難しいです。今の業績が好調でも、将来的には維持できないかもしれません。思わぬリスクや不祥事発覚などもありえます。さまざまな知識を駆使しても、損失を被る可能性があります。
しかし不動産の場合、「いい物件かどうか」の判断基準はわかりやすいです。備えられている設備、駅からの距離、周辺環境、外観、管理状態など、「自分も住んでみたいと思えるかどうか」という感覚である程度の判断ができます。
『自分で「経営改善」ができる』
株式投資をしていて、その企業に対して「何か経営改善策を講じてほしい」「リスク回避を図ってほしい」と思っても、なかなかその声は届きません。
しかし不動産投資の場合、「このままでは空室が埋まらない」と感じた際は、建物の修繕や設備改善といった対策を自ら考え、実行することができます。
『ローリスク商品よりも高いリターンが望める』
Q1にあるとおり、不動産投資の目的は「インカムゲイン」ですので、「キャピタルゲイン」狙いである株式投資よりも、ローリスクの「預貯金」や「公社債」といった商品のほうが分類としては近いかもしれません。ただ、それらローリスク商品よりもリターン(利回り)は不動産投資のほうが高くなるのが一般的です。
区分投資と一棟買いでは、具体的にどんな違いがありますか?
投資金額が大きく違います。少額で買える区分物件のほうが投資リスクが小さいようですが、空室となった際の影響は大きいです。
『一棟買いだと「億単位」の資金が必要』
物件の規模にもよりますが、マンションを一棟丸ごととなれば、購入金額(新築の場合は建築価額)は億単位になることも多いです。物件そのものを担保にできるので、借入によって資金をまかなうことは可能ですが、万一、空室が多く発生するようであれば、多額の返済負担だけが残ることになります。
区分物件であれば、購入価額は低い場合が多く、中古で、都市部を少し外れれば「数百万円単位」のものもあります。思うように賃料が入らなかった場合でも、「失うもの」は一棟買いより小さくなります。
『「空室の影響」は区分物件のほうが大きい』
一棟買いの場合、何戸も保有することになりますので、仮に数室空きが出ても、影響は一部ですので、ある程度の収入は見込まれます。
しかし区分物件の場合、持っている物件が「一戸だけ」のため、空室になると収入がゼロになってしまいます。その意味では、空室リスクは区分物件のほうが大きいともいえます。
なお、「サブリース」(不動産会社が借り上げて、それを不動産会社が転貸する)のような方法を不動産会社に依頼して、空室リスクを軽減することも可能です。
『「災害リスク」などを考えると、「区分物件を複数持つ」のも有力』
一棟買いの場合、地震や火災で倒壊するようなことがあると、多額の収入が失われます。災害でなくても、「周辺環境が変わった」などの理由で、一棟全体が影響を受けることもありえます。実際、これらを考慮し、「区分物件を何戸か持つ」ような投資をしている方もいます。これならば、投資に必要な金額は大きくなりますが、「収入が突然なくなる」ようなことは避けられます。
中古マンションへの投資の特徴を教えてください
購入金額が低い分、新築よりも高利回りの物件もあります。
『購入金額は低いが、家賃はそれほど低いわけではない』
ある新築物件(全10室)で、家賃が月10万円だとします。購入金額が1億2000万円であれば、
表面利回り
= 年間収入 ÷ 購入金額
= (10万円×10室×12ヶ月) ÷ 1億2000万円
= 10.0%
となります。
同じ間取り、同じ立地条件の「築10年の中古マンション」を考えてみましょう。
築10年であれば、購入金額は新築の7割程度に下がることも珍しくありません。7割とすると 8400万円です。
しかし家賃収入は7割までは下がりません。8割(8万円)前後は見込めます。
この場合の利回りは
表面利回り
= (8万円×10室×12ヶ月) ÷ 8400万円
= 11.4%
となり、新築を上回ることになります。
『競争力は変えることも可能』
もっとも、空室が多く発生してしまうと、高い利回りは得られません。築年数の経過した中古物件については、「新しい設備が導入されていない」「耐久性が不安」といったことから、「人気がないのではないか」という不安を持たれる方もいます。
しかし「新築に比べて家賃が安い」というのは大きな強みです。さらに、修繕やメンテナンス、リフォームなどで、新築に負けない競争力をつけることも可能です。
競争力がついた物件は、市場価格も高くなります。特殊な事例ではありますが、「修繕やリフォームの結果、家賃収入が増えたばかりでなく、買ったときよりはるかに高い値段で売れた(キャピタル・ゲインが得られた)」ということもあります。
『収入の予想が立てやすい』
中古物件にはすでに入居者がいます。居室の多くが埋まった(かなりの家賃収入がすでに発生している)状態で買えるものもあり、また、過去においてどの程度空室が出たかも把握できるので、収入の見込みが立てやすいです。その意味で「安心感」があります。
ただ、修繕やリフォームなどの出費が、新築物件よりも早い段階で必要になるケースが多いです。これも見込んだ上で、収支計画を立てるのがいいでしょう。
投資物件の「地域」による特徴はなんですか?
都市部は高い家賃収入が望めますが、購入金額が高く、競争も激しいです。地方の物件は、周辺環境などの調査が求められます。
『「需要」も「供給」も多い都市部』
不動産投資は、「住居を提供する事業」です。「需要」は当然、「人口(特に若年層)が増える」「世帯数が増加する」地域のほうが多くなります。
通常、都市部のほうが、「需要増加」は見込みやすいでしょう。過疎化が進むような地域では当然、空室が多く発生してしまいます。実際、都市部のほうが賃貸住宅は多く存在します。
ただ、「需要」は確かに多いものの、「供給」も多いので、当然、競争は激しくなります。しかも近年、マンション建設が高水準で推移したため、「供給過剰」となっている都市もあります。物件そのものの「競争力」が重要になります。
『地方の物件は「周辺環境の変化」に注意』
地方の物件は、一般に都心部の物件よりも安く買えます。しかし家賃は、物件の価格差ほどの差がありませんので、高い利回りが期待できる、魅力的なものも多いです。
もちろん、過疎化が進んでいるような地域であれば投資対象として考えにくいですが、「大きな駅に近い」「大学が近い」といったものであれば、十分、検討に値するでしょう。
ただ、そういった情報をもって「実際に物件を見ることなく」投資を決めてしまうのは問題です。後になって「近くに新築マンションができて、入居者を奪われている」「近隣に大学があり、学生の入居者が安定しているが、近い将来、校舎が移転することになっている」といった事実がわかることもあります。
地方の物件は、なかなか現地調査がしづらいところがありますが、投資を行う前にきちんと情報収集をしておくのが望ましいと言えます。
購入の際、物件価格以外にもお金が必要なのですか?
不動産取得税や登記費用などが発生します。
『「不動産を持つ」ことに対する課税』
不動産を「持つ」ことも課税の対象になります。不動産投資によって「不動産の持主」になるのですから、そこで税金が発生します。
まず都道府県が課税するものとして、「不動産取得税」があります。固定資産税評価額(実際の時価相場の5~6割前後)の3%(平成30年3月31日まで)が課税されます。
ただし、土地については、課税標準を2分の1にする特例が(平成30年3月31日まで)ありますので、実質1.5%です。また、一定の面積がある「新築物件」の場合、土地・建物とも軽減措置があり、不動産取得税が一切かからないこともあります。
他に国税としては、「登録免許税」があります。
売買などで持主が変わると、その旨、登記簿に登記を行う(移転登記)必要がありますが、その際にかかる税金が登録免許税です。
建物の移転登記については、平成29年4月1日以降、固定資産税評価額の2.0%になります。
土地の移転登記については、平成29年4月1日以降、固定資産税評価額の2.0%になります。
建物を新築する場合、「それまで存在しなかった不動産が新しくできる」わけですが、この際、「新しくできた不動産は私のものです」という登記が必要になります。これを「保存登記」と言いますが、この「新築建物の保存登記」の登録免許税は、平成29年4月1日以降、固定資産税評価額0.4%になります。
通常、登記の手続きは司法書士に任せます。登録免許税と合わせて、「司法書士報酬」も必要になります。
不動産取得税
住宅用土地 固定資産税評価額×1/2×3%(平成30年3月31日まで)
住宅用建物 固定資産税評価額×3%(平成30年3月31日まで)
ただし、一定要件を満たす「新築住宅」には軽減措置あり
登録免許税
売買による移転登記 建物 固定資産税評価額×2.0%
(平成29年4月1日から)
土地 固定資産税評価額×2.0%
(平成29年4月1日から)
新築建物の保存登記 固定資産税評価額×0.4%
(平成29年4月1日から)
抵当権設定の場合 債権金額×0.4%
(平成29年4月1日から)
※上記内容は平成29年4月1日現在。
『仲介手数料やローン付随費用などもある』
不動産会社が売買の仲介をする場合、購入価額の「3%+60,000円+消費税」(売買金額400万円超の場合)の「仲介手数料」が必要になります。
その他、売買契約書に貼る、印紙代が必要です。物件購入後は火災保険(地震保険も一緒に入ることが多い)に加入することになりますが、その保険料も当然負担することになります。また、借入を行う場合はローン手数料や抵当権設定費用がかかります。
不動産投資のリスクにはどんなものがありますか?
災害もありますが、最も注意すべきは「空室発生リスク」です。
『空室発生によって見込んだ収入が得られない』
「収入が得られなくなるリスク」としては、地震や火災、自然災害などによる倒壊があります。ただ、保険に加入しておくことで、ある程度カバーできます。
また、金利上昇もリスクの一つです。「変動金利」での借入で投資を行った場合、金利が上がると、その分、返済負担が重くなります。
最も注意すべきは「空室発生リスク」です。空室が発生すると、その間の収入がないわけですので、諸経費や借入返済の負担が重くなります。
対策としては「空室が発生しない、発生してもすぐ入居者が入る」ような強みのある物件を選ぶことです。ただ、「永続的に常時満室」とはなかなかいかないのも事実です。周辺環境が変わったり、近隣に新築物件ができたりすることもありえます。「ある程度の空室を見込んだ形で収支のシミュレーションを立てておく」ような姿勢が望ましいでしょう。
『将来的に発生するリスクもある』
建物は時間とともに老朽化していきます。致し方ないことではありますが、何も策を講じないでいると、人気が下がり、「入居者が減る」「家賃を引き下げないと空室が埋まらない」といったことになりかねません。普段から「修繕」「メンテナンス」をしておくことで、できるだけ「老朽化リスク」にも対応していくべきです。
老朽化とも関連しますが、将来、その物件を手放す際には、地価が横ばいであれば「購入金額以下」でしか売れないものです。所有期間が短くても、価格は下がるケースもあります。「とりあえず買ってみて、家賃が思うように入らなかったら売ればいい」という考えはするべきではありません。
『「流動性の低下」もリスクの一つ』
当然のことではありますが、自己資金を投入して投資した場合、「お金」という資産が「不動産」に変わってしまいます。
必要な出費ができたとき、お金があれば対応できますが、不動産に変わってしまっていてはそれもできません。売却すればお金にできることはできますが、上記のように、「買ったときより安い値段でしか売れない」可能性もあります。
「相続税対策」として不動産投資を行う方も多いですが、「相続税が納められるだけの現金」はキープしておくべきです。特に相続の場合、納税だけでなく「財産分割」の視点も忘れてはなりません。不動産はお金と違って「何分の一ずつ」のように分けられません。金融資産のほとんどをつぎ込んでしまうような方法は避けましょう。
物件選びのポイントは何ですか?
立地や間取りなどに加え、「将来的な見通し」も大切になります。
『わかりやすい基準は「駅からの距離」や「間取り」』
基本的には、ご自身が賃貸住宅に住む場合に「選ぶ基準」で考えればよいのです。「駅から近いか」「面積がどのくらいか」「どんな設備が入っているか」「日当たりはよいか」「眺望はよいか」「周辺環境はどうか」といったことは、当然考慮するでしょう。
ご自身から見て魅力ある物件であれば、借りていただける可能性も高いです。
『「安定した家賃収入」を「長期的に得られるか」』
ただし投資に際しては、「自分が住む場合」とは別の視点も必要になります。
借入の返済期間は20~30年が一般的です。逆に言えば、それだけの期間、「返済を続けられるだけの収入」が得られなければなりません。自己資金を多く投入した場合でも、投入金額を回収するのには15年程度はかかります。
いずれにしても、「長期に渡って収入が得られる」物件が投資対象として望ましいということです。したがって、「将来的に発展性のある地域か」「今は好条件でも、将来的に状況が変わってしまう可能性はないか」といったことも考えなければなりません。
「自分が住む」のであれば、「状況が変われば住み替える」ことも可能ですが、投資の場合は、物件と「長い付き合い」になります。長期的な視点も欠かせません。
事前に持っておくべき知識は何ですか?
人気の設備・間取りなどがあります。「不動産市況」についても知っておきましょう。
『「どんな設備・性能が求められているか」を知っておくとよい』
「どういった物件が人気があるのか」は当然知っておくべきです。この条件を満たしていないものは、リスクが高いということです。
一昔前までは「トイレ一体型のユニットバス」は普通でしたが、今では「バス・トイレ別」が当たり前になりつつあります。「TVモニター付インターホン」「床暖房」「インターネット回線」など、住宅設備は機能が多様化する傾向にあります。競争力を判断する重要な要素です。
また、住宅の「基本性能」も重要です。コンクリートの強度、床や壁の厚さなど、耐久性やプライバシーなどの観点から重視されるようになっています。
『「長期的視点」に立った知識として、法律知識や不動産市況などがある』
投資対象として望ましいのは、「長期に渡って安定した収入が得られる」物件です。周辺の環境が悪化してしまう可能性がある物件は、考え直すべきでしょう。「周辺環境の悪化」の例としては、「近隣に深夜まで営業する商店が増え、住環境が悪くなる」「高層の建物が建ち、日当たりが悪くなる」などがあります。
もっとも、出店や建物の高さなどは、「都市計画法」や「建築基準法」で一定の規制があります。これらの法律にある程度の知識があれば、将来的なリスクもわかってきます。
また、投資して得た不動産も、いずれ売るときがくるかもしれません。「そのときいくらで売れるか」は、重要なことです。売る際、一般的に建物は減価しますので、土地の価格が大きなウエイトを持ちます。周辺環境などから、「資産価値が維持できる土地かどうか」ある程度判断できると望ましいでしょう。
現地調査はやっぱり必要なんですか?
現地調査をすることで、適切な「リスク対応」が可能になります。
『「チラシ」だけではわからないこともある』
「駅から○分」「床面積○㎡」といったことは、チラシやインターネットの物件情報などから把握できます。
しかし駅から近くても、「間に踏み切りがあって、待たされることが多い」「駅の反対側の出口は栄えているが、こちら側は閑散としてて人気がない」といったこともあります。
間取りがよくても、「内装を補修したほうがいいが、そのためには多額のお金がかかる」ようなことは物件を直接見ないとわからないものです。
また、立地や間取りなどが優れている物件であっても、「近隣に新築マンションが多く、競争力がない」可能性もあります。
現地調査をしなかったがために、「家賃収入が見込みを大きく下回った」「多額のリフォーム費を払うことになった」「仕方なく安い値段で手放した」という失敗につながってしまう例はよくあります。
逆に、物件の状況を正しく理解しておけば、「その物件には投資をしない」「リフォーム費用や、家賃引き下げ・空室発生を見込んだ収支シミュレーションを行い、それでも採算がとれるようであれば投資をする」といったスタンスがとれます。
『周辺の「雰囲気」をつかんでおくのも大切』
物件自体はいいものでも、その「地域」に魅力がなければ、入居は続かないものです。
「地域の魅力」は、「雰囲気」「空気」から感じることもできます。若者の数、ファッションなど、一見不動産とは関係ないような要素を重要視する専門家もいます。
都心部ならまだしも、少し地方になる場合は、周辺を歩いてみるのもいいでしょう。できれば、休日、平日それぞれの雰囲気を感じておきましょう。
不動産投資の「利回り」って本当にあんなに高いんですか?
諸経費もありますので、実質での利回りはもう少し下がります。
『「10%」などの数字は「表面利回り」』
広告などで「利回り10%」といった表示をよく見かけます。この低金利の時代に、考えられないような数字です。
ただ、これは「家賃収入」を「物件価額」で割っただけの数字です。これを「表面利回り」と言います。毎年1000万円の家賃収入が得られる、1億円の物件であれば「表面利回り10%」ということです。
ただし、物件購入時には付随的な費用もかかります。また、管理費や固定資産税など、購入後も毎年かかってくる経費があります。
購入時の不動産取得税や登記費用などが1000万円かかったとします。その場合、購入総額は1億1000万円です。
年間管理費で80万円、固定資産税で120万円かかるとすると、収入のうち200万円はそれらの支払いに充てなければなりません。
これらを考慮すると、「毎年800万円の手残りが得られる物件を1億1000万円で買う」というのが実態の数字ということになります。この場合の利回り(ネット利回り)は7.3%です。
『家賃収入は「現況」と「満室想定」がある』
中古物件の場合、「現況賃料収入」と「満室想定賃料収入」が併記されていることがあります。中古物件ですので、今すでに入居者がいたり、何室か空いていたりするわけですが、「今得られている収入」が「現況賃料収入」で、「空室が全部埋まったと仮定した場合の収入」が「満室時想定収入」です。
広告では、「満室時想定収入」を基に利回りを提示しているケースが一般的です。「満室時」の数字だけで、「好条件の物件」と即断してしまうのは危険です。常に満室とはなかなかいかないものですので、ある程度の空室を見込んだ収入・利回りを考えておくべきでしょう。
『借入をした場合の、利回りの考え方』
借入をして投資した場合、返済負担がありますので、「手残り」は少なくなります。「表面利回り10%の1億円の物件」であっても、ほとんどを借入でまかなった場合は、最終的には年間200万円程度しか残らないでしょう。
ただ、これは「2%程度の利回りしかない」ということではありません。借入返済は家賃収入の中から確実に行えるので、「投資効率」を考える際には、検討の外におくべきです。
大切なのは、「投入した自己資金との関係」です。上記物件を買う際に「自己資金1000万円」を投じて、他を借入とした場合は、「投入1000万円に対し、毎年200万円の手残りを得ている」わけです。利回りは実に20%になります。
確定申告は難しいのでしょうか?
計算自体は難しくありませんが、申告書の記入は、慣れるまでは難しいかもしれません。
『青色申告には、正しい会計処理が必要』
収入と経費がわかれば、所得は計算できます。ただ、きちんとした「会計記録」を行い、損益計算書、貸借対照表などを作成する方法(青色申告)を採れば、所得からさらに65万円を、「青色申告特別控除」として差し引くことができます。
家賃収入が入ってきた、修繕でお金を支払った、固定資産税を納めたなど、取引が発生する度に、「複式簿記」の形で記録しなければなりません。また、建物については「減価償却費の計算」もあります。会計記録は申告書に付ける必要はありませんが、減価償却費は、申告書に記載しなければなりません。予備的知識がないと、慣れるまでは少し苦労するかもしれません。市販のソフトを使ったり、税理士に相談したりすることも検討しましょう。
『いろいろな「届出」も必要になる』
賃貸経営を開始したら、1ヶ月以内に「個人事業の開業等届出書」を税務署に提出します。2ヶ月以内(1月1日~1月15日に開業した場合は、その年の3月15日まで)に「青色申告承認申請書」を提出します。
そして2月16日から3月15日までの間に、確定申告書を提出します。
住民税や固定資産税は、地方自治体から送られてくる「納税通知書」に基づいて納税します(金融機関で支払うのが普通)。
届出や手続きの面で洩れがないよう、注意する必要があります。
入居者募集など、やっぱり大変なんですか?
管理会社に任せるのが一般的です。
『煩雑で気苦労の多い業務もある』
家賃収入は「不労所得」などと言われますが、実際は、いろいろな仕事があります。
まず、不動産会社を通じて入居者募集をします。
入居者が決まると「契約締結」ですが、契約書作成や保証人の署名などをしなければなりません。
無事、入居が開始しても、「家賃を期日に払ってくれない」「隣室の入居者とトラブルを起こした」「居室内の設備が故障したので直してほしいと言われた」など、ストレスのかかる対人交渉もあります。
こういった「募集」「契約」「管理」の仕事は、知識や経験の少ない大家さんにはなかなか困難なことです。一般的には、専門の管理会社に委託することになります。
『管理会社とのコミュニケーションは大切』
管理会社は、不動産賃貸のプロであり、また、大家さんの大切なビジネスパートナーです。
家賃の設定(適正か、高すぎないか)、建物や設備のメンテナンスの必要性など、プロの視点からアドバイスをくれるぐらいの会社であれば心強いです。ただ、「主役」はあくまで大家さんですので、「思うところ」があればきちんと伝えるようにしましょう。
入居者と実際に接するのは管理会社になります。「評判」を決めるのも管理会社、ということもありえます。管理会社の役割は重要です。
法律的な部分で面倒なことはありますか?
借家法や民法、消費者契約法など、関連する法律はいくつかありますが、管理会社で対応できます。
『大屋さんと入居者との間で訴訟になるケースも少なくない』
「家賃の支払いが遅れる」「よくトラブルを起こす」「契約書に定めた規約を守らない」など、入居者と大家さんとのトラブルは意外に多いものです。正直、「退去していただきたい」と思う入居者もいるかもしれません。
しかし、入居者にも法律で守られる「権利」があります。実際に退去していただくとなると、逆に訴えられる可能性もあるのです。「契約書に違反している」ようなケースでも、「契約書自体が法的に無効」とされることもあります。例えば「家賃を一定期間滞納した場合、居室内の財産を処分し、カギも取り替える」などの条項を盛り込んでいても、大家さんが本当にそれをやってしまうと、入居者は損害賠償請求することができます(実際に判例があります)。
近年多いのが、退去時の「敷金返還トラブル」です。大家さんとしては、退去時には「もともとのきれいな形に戻したい」と思い、預かっていた敷金を全部リフォームに使う、場合によっては、追加で費用を請求する、といったケースがあります。これをめぐって裁判となり、大家さん側が負ける、というニュースはよく聞きます。「クロスの張り替えに使う目的で敷金を返還しない」ようなことをすると、「クロスの汚れは、普通に使用していても発生するもので、大家が負担するべき」という「基準」がありますので、裁判では負けてしまいます。
こういったトラブルに対応しようとすると、「民法」「借家法」「消費者契約法」など、いろいろな法律知識を持たなければなりません。したがって、実際は管理会社が対応することになりますが、大家さんとしても、ある程度の知識を備えておくのが望ましいです。
『区分物件投資をする場合は「区分所有法」にも注意』
区分物件投資をする場合、「分譲マンションの一室だけを持つ」ことになります。これは法的には「区分所有者」となって、「区分所有法」という法律がかかわってきます。これは、区分所有者の権利や義務を定めたものです。
具体的には、「(魅力ある物件にするために)共用部分の形状などを変えたい」と思っても、区分所有者及び議決権の4分の3以上の賛成がないとできません。また、貸している相手(入居者)の素行に問題があるような場合、管理組合の決議で退去を命じられることもあります。こうなると、家賃収入が途絶えてしまいます。
当然、共用部分の管理費や修繕積立金は、区分所有者が負担しなければなりません。
このように、投資の「成果」に影響を与える規約が存在するので、注意が必要です。
融資を受けるとき、自己資金をあまり使わないようにする方法はありますか?
不動産投資をするときは、物件により物件価格の1割~3割くらい自己資金がいります。
個人の場合は、融資を受ける時点での勤務先やご年収、勤続年数等は金融機関にとって大切な融資判断材料となります。
物件にもよりますが、担保評価が高く、また、金融資産が多い場合には自己資金が少なくてすむこともあります。
金融機関のご紹介もさせて頂きますので、担当者までご相談ください。
賃料相場はどうすればわかりますか?
不動産ポータルサイト等でもある程度の相場賃料を調べることはできますが、当社は賃貸仲介斡旋も強みがあります。リアルタイムでの賃貸業界の流れも併せて、お伝えすることが出来ます。
物件を見るときのポイントはありますか?
現地で見るときは、借り手が付く物件であるかを見ておくことが大切です。
周辺の物件の賃料や入居率を確認しておくのも良いでしょう。
他に、空室がある場合は「なぜ空室なのか」を考え、どう対策すれば借り手が付くかを入居者の立場になって考えてみましょう。
当社では、賃貸管理部門もございます。流行りの設備や間取りなど、リアルタイムの情報も併せてご提示致します。
不動産投資は基本的には土地がある限り価値がゼロになるという可能性は極めて低いといえるためリスクは決して高くありません。また家賃収入によって長期的に安定した収入を得ることができ、入居状況から収益の見通しを立てることもできます。ローリスクかつ安定した長期的な見通しの立ったリターンは不動産投資の最大の魅力といえるでしょう。
不動産から得られる家賃収入は不動産所得となり所得税の対象となります。しかし家賃収入から必要な経費(固定資産税・管理費・修繕費など)に加えて減価償却費を差し引くことが可能であり、所得税が軽減されることになります。また相続税では、現金や有価証券を保有しているよりも、不動産を保有している方が、評価が引き下げられ、相続税を軽減することが可能となります。
どの物件を購入するかから、賃貸事業の経営、物件の売却、またそれらにプロのアドバイスをしてくれるアドバイザーまで自分自身の判断で決めることができます。自分自身が主体となって積極的に事業に関わることによってより多くの利益を得ることもできます。